レポート試験と生成AI|期末に出すときの出題・採点の工夫と大学の規定
レポート試験は、定期試験期間に筆記試験の代わりとして課すレポートです。生成AIの扱いは多くの大学で科目担当者の指示に委ねられており、指示に反した利用は試験での不正行為として扱われることがあります。※1 ※2 そのため、1月の後期試験の前に、利用の可否を指示文に書き、AIだけでは書けない出題にしておくことが大切です。
Cognityは、学生が生成AIと一緒に課題に取り組む過程を記録する、AIの可視化ツールです。この記事では、各大学の規定と教員向けガイドラインをもとに、レポート試験を出すときの指示文、出題、採点、疑わしいときの確認の進め方を紹介します。
レポート試験と定期試験の関係
レポート試験は、多くの大学で定期試験の一つの形として位置づけられています。駒澤大学は、定期試験期間に行う試験を「筆記試験」と「レポート試験」に分け、レポート試験は授業支援システムで行うと定めています。※3 後期の定期試験期間は「1月中旬から1月下旬」です。
京都大学の全学共通科目の手引きは、「レポート試験での不正行為についても、定期試験での不正行為と同等に、厳正な措置がとられます」としています。※1 学生が、レポート試験を普段の課題と同じ感覚で書いてしまわないよう、試験であることを指示文で伝えておく必要があります。
生成AIの扱いを決めるのは科目担当者
レポート試験での生成AIの利用は、大学全体で一律に決めるのではなく、科目担当者の指示に従う形が広がっています。
- 同志社大学:2026年4月から、「期末試験として実施するレポートの作成における生成AIの利用については、科目担当者の指示に従うこととします」と改定※2
- 京都大学:利用を認めない科目では「その旨をシラバス等で事前に明示することが望ましい」とするガイドライン(2026年3月)※4
- 東京大学:AIの利用範囲を示すラベル(T0〜T5)を設け、許可する範囲を学生に伝えることは「すべての課題で必要」とする方針※5
同志社大学の規定では、指示に従わなかった場合に「教授会が不正行為と認定し学部一般内規に従って処分の対象とすることがあります」とされています。※2 教員が何も指示しなければ、この規定は働きません。指示を出すこと自体が、レポート試験の公平さを支える前提です。
不正行為と判断されたときの扱い
処分の重さは大学と学部によって異なります。いくつかの例は次のとおりです。
| 大学 | レポート試験での不正行為の扱い |
|---|---|
| 京都大学(全学共通科目) | 「当該年度の全履修科目の成績がすべて無効」とされるなど、所属学部の基準に従った措置※1 |
| 同志社大学(全学) | 教授会が不正行為と認定した場合、学部一般内規に従って処分の対象※2 |
| 立命館大学 | 学期の全科目F評価の対象は「定期試験(筆記)」で、レポートは別の扱い※6 |
学期の全科目に及ぶ処分を、レポート試験にも適用するかどうかは大学によって違います。担当科目の大学・学部の規定を確認し、指示文で学生に示しておくことが求められます。
生成AIだけでは書けない出題の工夫
各大学の教員向けガイドラインは、出題の段階での工夫を挙げています。
- 授業内容との結びつけ:授業中に議論した内容をもとに書かせる(大阪大学)※7
- 個人の経験との統合:学生自身の体験と学習内容を関係させる課題にする(大阪大学、上智大学)※7 ※8
- 執筆過程の提出:下書き、参考文献、編集履歴もあわせて提出させ、評価の対象にする(大阪大学)※7
- 口頭での確認:提出したレポートについて自分の言葉で説明させてから採点する(東北大学)※9
- 評価方法の組み合わせ:レポートとともに筆記試験や口頭説明を用いる(京都大学)※4
大阪大学のガイドは、事前に問題を生成AIで試し、AIが答えられた場合は別の問題を検討することも勧めています。※7 ただし東京大学は、試験問題は機密性が高いため、そのままAIに入力しないよう求めています。※10 試すときは、問題文を言い換えた類題を使うか、大学が契約しているAIサービスを使うのが安全です。
疑わしいときの確認の手順
検出ツールの判定だけで不正行為と決めることは避けるべきです。東京大学は、検出ツールの結果は不正に利用した証拠として「不十分」としています。※10 上智大学のガイドラインも、検出ツールに頼れないことを前提に、次の3つの手順を示しています。※8
- 疑わしい箇所の特定
- 学生との面談
- 追加の確認
面談では、レポートの論点や参考文献を選んだ理由を、学生自身に説明してもらいます。執筆過程の記録が残っていれば、どこを本人が書き、どこでAIを使ったかを、面談の前に確かめられます。
レポート試験の指示文に入れておきたい項目
各大学の規定とガイドラインをもとにした、指示文の項目例です。
レポート試験の指示文(例)
- このレポートは期末試験として実施し、不正行為は定期試験と同様に扱います
- 生成AIの利用:認めない/調べものや構成の検討のみ認める/条件付きで認める(いずれかを明記)
- 利用した場合の明記:ツール名、入力したプロンプト、日付、反映した箇所
- 提出物:本文に加え、下書きまたは執筆過程の記録
- 確認:提出後、内容について口頭で説明を求める場合があります
執筆過程の記録を残す方法
指示文で求める「執筆過程の記録」は、AIを使う場所と書く場所を一つにまとめると自然に残ります。Cognityでは、学生がレポートを書く間にAIチューターのJelloと交わした会話と執筆の過程が、あわせて記録されます。下書きや編集履歴を別に提出させなくても、面談の前に確認したい点を記録で確かめられます。
次の学生は、寮の義務化に賛成する立場を取りながら、反対側がどんな問題を指摘しそうかをJelloに尋ねました。さらに執筆の途中で、「寮に住むと1年生の成績が上がる」と言い切れる根拠があるかを確認しています。


別の学生は、レポートをまるごと貼り付けて提出しました。Cognityは貼り付けた文章を「出所が不明です」と示すだけで、AIが書いたとは判定しません。

Cognityが不正行為かどうかを判定することはありません。面談の前に教員が読む記録を残し、判断は教員が行います。大学の授業でのCognityの使い方は、大学向けCognityで詳しくご覧いただけます。
Cognityは無料で始められます。後期のレポート試験を、Cognityで出してみませんか?
よくある質問
Q1. レポート試験で生成AIの利用を全面的に禁止してもよいですか?
禁止することはできます。上智大学のシラバス例のように、最終レポートでの利用を「一切禁止する」と明記する方法もあります。※8 ただし、授業時間外の利用を完全に排除するのは現実的ではないと東北大学は指摘しており、口頭での確認や執筆過程の提出とあわせて設計することが大切です。※9
Q2. 学生はレポートにどのくらい生成AIを使っていますか?
全国大学生活協同組合連合会の調査では、生成AIの利用経験がある学生は92.2%でした。「論文・レポートの作成の参考に」使うという回答は49.8%で、前年の29.7%から増えています。※11
Q3. 検出ツールで高いスコアが出たら、不正行為として扱ってよいですか?
避けるべきです。東京大学は検出ツールの結果を不正利用の証拠として「不十分」としています。※10 スコアは、面談で確かめる箇所を選ぶきっかけにとどめるのが安全です。
レポート課題全般の設計は生成AI時代の大学レポート課題に、AI利用の明記の仕方はレポートでの生成AI利用の明記の仕方にまとめています。
参考資料
- 京都大学 国際高等教育院(2026)「令和8年度 全学共通科目履修の手引き」15. レポートの作成について, p.94/16. 不正行為について, p.96
- 同志社大学(2026)「期末試験として実施するレポートにおける生成AIの利用について」 2026年2月10日更新
- 駒澤大学「定期試験、追試験、授業内試験」 2026年10月6日確認
- 京都大学(2026)「教育・学修における生成AI利用に関するガイドライン」 令和8年3月11日
- 東京大学(2026)「授業課題・取り組みにおけるAI利用範囲の類型と表示」
- 立命館大学「定期試験」 2026年10月6日確認
- 大阪大学 全学教育推進機構「評価における生成AIの影響」 2026年10月6日確認
- 上智大学(2025)「教育における生成AI利用に関するガイドライン」 2025年11月11日一部改訂
- 東北大学(2023)「ChatGPT等の生成系AI利用に関する留意事項(教員向け)」
- 東京大学(2023)「AIツールの授業における利用について(ver. 1.0)」
- 全国大学生活協同組合連合会(2026)「第61回学生生活実態調査 概要報告」